耐熱ガラスの種類
熱に強いガラスの事を指す。
次のガラスは、フロートガラスよりも熱による耐衝撃性のあるもの。
・石英ガラス | (最高使用温度:約1,000℃) |
・耐熱結晶化ガラス | (最高使用温度:約700℃) |
・ホウケイ酸耐熱ガラス | (最高使用温度:約500℃ ※耐熱時間 10時間未満:450℃ 10時間以上:400℃) |
・耐熱強化ガラス | (最高使用温度:約781℃ ※パイロクリア。20分遮炎試験による) |
・強化ガラス | (最高使用温度:約200℃) |
etc. |
このうち、販売部で取り扱いのある、
【ホウケイ酸耐熱ガラス】の解説を行う。
【テンパックス】とは、ドイツのガラスメーカー【SCHOTT(ショット)社】で製造されている耐熱ガラス。
フロート製法で製造された単板ガラスであり、通常のフロートガラスの成分(珪砂・ソーダ・石灰石)に、ホウ素と呼ばれる成分が多く含まれている。
ガラスの色味が青みのあるフロートガラスと比べて、青みが少なく少し黄色。
・SCHOTT【https://www.schott.com/ja-jp】
・商品情報
ガラスの厚み・寸法
弊社在庫
厚み 5.0mm 8.0mm 10.2mm
寸法 2300mm×1700mm
厚み 0.7mm 1.1mm 1.75mm 2.5mm 2.75mm 3.3mm 3.8mm 6.5mm 10.2mm 12.2mm 13.0mm 15.0mm 20.0mm
寸法 850mm×1150mm
テンパックスの使用用途
・内装
例)飲食店などの、調理場と客席の間仕切り
(熱源があり、且つ客席側から内部を見せたいときに使用)
・暖炉の小窓や照明器具のレンズなど、透過性と耐熱性を両立させたい場所
・産業機器の部品(薬品タンクののぞき窓) etc.
耐熱性と透過性を生かして、熱源との間仕切りとしての使用が多い。
また耐熱性・透明性・化学耐久性・機械的強度の高さから、医療機器などの産業機器の部品として使用されている。
しかし、テンパックスはJIS規格認定を取得しておらず防火認定は無い。
そのため防火設備・特定防火設備への施工はできず、外装の使用不可。
また、内装としての使用でも、許容温度を超える場所の施工は不可。
例)備長炭を使用した熱源のある厨房。火が燃え上って超高温を発する備長炭の熱源と、厨房内の冷房の直撃による温度差に耐えられない。
テンパックスの耐熱性
耐熱性とは、ガラスの熱膨張係数が小さいことにより、耐熱衝撃性が高い事をいう(詳細は次の項目にて)。
下記は、各ガラスの許容温度となる。
最高使用温度(熱したガラスに冷水をかけた際に耐える温度):500℃
常用使用・短時間(10時間未満):450℃
常用使用・長時間(10時間以上):400℃
ガラスの熱割れ、メカニズム
ガラスのコップに熱湯をかけると割れてしまうことは、よく聞かれると思う。
これは、熱湯自体が原因ではなく、一個あるいは一枚のガラスの中に生じる熱の不均等、すなわちガラス内に発生する熱応力によるもの。
ガラスのコップに熱湯をかけると割れてしまうことは、よく聞かれると思う。
これは、熱湯自体が原因ではなく、一個あるいは一枚のガラスの中に生じる熱の不均等、すなわちガラス内に発生する熱応力によるもの。
コップの例だと、右図のように熱湯を注いだ箇所(ガラスが急激に温められる)と、熱湯が触れない箇所(ガラスの温度変化がない)との温度差が生じる。
熱により膨張しようとする箇所と膨張しない箇所の力の差によって、ガラスが割れる(=熱衝撃)。
これが、ガラスの熱割れのメカニズムとなっている。
熱膨張係数が小さいほど力の差が小さくなり、ガラスの熱割れ(=熱衝撃)が起きなくなる。

耐熱強化ガラスとの違い 各ガラスとの早見表
使用温度 | 加工可否 | ガラス厚み | 寸法 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
テンパックス | 最高:500℃ 10時間以上:400℃ 10時間未満:450℃ |
小口 切り欠き 穴あけ 曲げ 強化加工※1 |
0.7~20.0mm | (5mm、8mm厚) 2300×1700 1150×850 |
・切断、加工が可能。 ・小口をむき出しにしたまま施工可能。 ・サンドブラスト不可。 ※1強化加工を施した場合、耐熱温度が落ちる(最高:290℃)。 弊社在庫 |
ファイアライト | 最高:700℃ 常用使用:600℃ |
小口 切り欠き 穴あけ |
5mm、8mm | 1829×914 2438×914 2438×1219 |
・切断・加工が可能。 ・曲げ、サンドブラスト不可。 ・FLと同程度の透明度。 ・個別認定による防火設備使用可能。 弊社在庫 |
耐熱強化 (日板:パイロクリア) |
最高:781℃ (20分の遮炎試験による) |
不可 | 4~12mm | 3000×2400 | ・切断、加工不可の為製造後の寸法変更できない。 ・個別認定による防火設備使用可能。 ・割れ方が粒状。 |
通常強化 (日板:タフライト) |
最高:200℃ | 不可 | 5~19mm | 6000×2800 | ・切断、加工不可の為製造後の寸法変更できない。 ・割れ方が粒状。 |
テンパックス まとめ
- 耐熱性が高い⇒10時間未満は450℃、10時間以上は400℃まで。
- 産業的な性能(化学的耐久性、機械的強度、透過性)が高い。
- 切断、加工が可能。
- 視認性と耐熱性を両立させたい施工に適している。
- JIS規格認定未取得のガラスの為、施工箇所に注意。